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2018年12月 4日 (火)

【ニュースの核心】与党・民進党大敗も… 米中新冷戦が、台湾人の“政治意識”を覚醒させる

台湾の統一地方選(24日投開票)で与党の民主進歩党(民進党)が大敗し、蔡英文総統が同日、党主席(党首)の辞任を表明した。中国との関係で、蔡政権は「現状維持」を唱え、勝利した野党・国民党は「親中路線」を掲げていた。中国は当然、ほくそ笑んでいるだろう。
だが、これで「台湾が中国の影響下に入ってしまう」とみるのは早計だ。

 蔡氏にとって、本当の試練は14カ月後の2020年1月に予定されている次期総統選である。中国との「新冷戦」に踏み切ったドナルド・トランプ米政権は「台湾テコ入れ」に動くに違いない。

 蔡政権は台湾独立志向の強い学生たちが展開した14年の「ひまわり運動」を背景に、16年の総統選で圧勝し、誕生した。ところが、今回は22の県市首長ポストのうち、民進党の獲得数は改選前の13から6に激減し、逆に国民党が6から15に躍進した。

 民進党の敗北が必ずしも「台湾の中国接近」を予感させないのは、選挙の争点が、年金や労働改革など国内問題だったからだ。退職公務員の年金削減は民進党支持者の怒りを買った。蔡氏が進めた同性婚推進政策も有権者の強い反対に遭った。

 米通信社ブルームバーグは「蔡総統のガバナンスに対する失望を示した」「中国との統一や台湾独立問題とは関係ない」という識者の声を伝えている。

 中国は、中国で暮らす台湾人に多くの優遇策を与える一方、台湾と外交関係を持つパナマなどにもアメをぶら下げて、台湾との断行を迫った。蔡政権は中国に外堀を埋められていたのに、過激なリベラル政策を打ち出して裏目に出た形である。
こうなると、次期総統選で蔡氏が厳しい立場になったのは間違いない。民進党の「現状維持派」や「台湾独立派」はどう盛り返すのか。逆説的だが、中国が選挙結果に勢いづいて台湾への干渉を強めると、それが起爆剤になる可能性がある。

 14年のひまわり運動は、中国と台湾のサービス貿易協定問題がきっかけだった。金融や医療、運輸、美容など中台が互いに自由化を進めると、政府が企業を後押ししている中国が圧倒的有利になる。やがて、政治的にも中国の影響力が強まる懸念が広がって、学生たちの国会議場占拠につながった。

 中国が今後、経済力や宣伝力にモノを言わせて台湾への浸透を図ると、学生や中小企業者は再び、反中意識を高めるだろう。これが1つ。

 加えて、トランプ政権にとって、台湾は中国との新冷戦を戦ううえで、絶対に落とせない重要拠点だ。台湾が中国の支配下に入ってしまったら、中国はそこから自由に太平洋に漕ぎ出せる。そうなったら、日本やフィリピンも危ない。
 台湾は、自由と民主主義を渇望する中国人にとって「中国の未来を示すひな型」でもある。
 マイク・ペンス米副大統領は10月4日の演説で、南米の3つの国に台湾との断交を迫った中国共産党の行動を「台湾海峡の安定を損なう」と批判した。そのうえで、「米国は『1つの中国』政策を維持する一方、民主主義を守る台湾が、すべての中国人に『より良い道』を示している」とも語った。

 トランプ政権は断固、台湾を守る決意なのだ。台湾内外での米中の激しい駆け引きが、台湾人の政治意識を覚醒させるに違いない。

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